芯（心）

我が家の中学生になった長女は５歳から近所の方にピアノを教えてもらっています。

小さい頃からひどい人見知りで、母親から離れず、ちょっとした事で気持ち悪くなったり、泣いてしまったりする子でした。

その子がどういう訳か、５歳になる前から「ピアノを習いたい」と自分から言い出しました。

テレビか何かを見て言い出したのだろうと思い、そのうち飽きて言い出さなくなるだろうと私も妻もほおっておきました。

ところが不思議なことに何時までたっても「ピアノを習いたい」と言い続けたのです。

近所のピアノを教えている方と知り合いだったので相談したところ「小学校に入学していない子は教えない」との事でした。

それでも娘が言い続けるので、再び相談したところ「ピアノの前に１時間の練習時間座っていられるなら教えてあげられるから一度連れて来て」と言ってもらいました。

（あの子が知らない人のところで１時間いられないだろう）

そう、私も妻も思い「先生のところで練習できるなら教えてもらえるんだって。一度行ってみる？」と、聞くと「行きたい」と小さな声で答えました。

後日、妻が連れて行き、初めて会う先生に引渡しました。

もちろん「あっ」という間に先生の家から出てくるだろうと思っていたので、家の前で待機。

しかし、全く出てくる様子が無い。

そして、１時間後、先生と家から出てきた娘は人見知りの娘ではありませんでした。

そして先生から「今までみんな１時間ピアノの前に座ってられないのよね。でも、この子は全然平気だし、楽しそうだし、預かるわ」そう言ってもらいました。

あれから、７年くらい。

「中学生になるからピアノやめる？」なんて聞くのは間違いだと思うほど。今までピアノだけは「やめたい」など聞いた事がありません。

娘とピアノの先生との信頼関係は物凄く硬いものになっていて、学校で起きた辛いことも、親には話さないことも、先生には打ち明けていたりします。

その子が中学で「吹奏楽部」に入部しました。

毎朝早く部活に出かけて行きます。とても楽しそうです。

先生とも「吹奏楽部の楽器も教えてくれる？」と約束しているようです。

好きなものは好きなんですね。

中学ではお弁当ですが、毎日「量が足りなくてお腹がぺこぺこだ」と帰ってきます。

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